「…てか、お前らいつ結婚すんの?

早く結婚しろよ。そしたら嫌でも毎日顔合わせることになんだろ。」









唐突にそんなことを聞いてくる雄大を、俺は軽く睨む。










「うるせぇ。

まだプロポーズすら出来てねぇんだよ。」









それ用の指輪は、もう半年も前から用意してある。

…にも関わらず、未だにそれは棚の奥に仕舞われたまま。








「は?なんでプロポーズ?

お前らもう婚約してんだろ?」





「雄大って本当に女心をわかってないよね。

組同士の婚約とは話が別でしょ。」










たしかに俺と結衣は、〝月島組次期当主と唐沢組現組長の娘〟として正式に婚約した。

親父にも最近、「そろそろ籍を入れたらどうだ」と急かされ続けている。






…だけど俺は組同士での取り決めの結婚なんかじゃなくて、〝愛し合った男女〟として結衣と一緒になりたい。


だからこそ、正式にあいつにプロポーズしなければいけないと思ってはいるが…