「…結衣、ありがとう。」
震える声を何とか絞り出して伝えた。
「…う、産んでいいの……?」
「当たり前だろ。…産んでくれ。」
「私、ちゃんとお母さんになれるかな?」
「…一緒に頑張ろう。」
俺たちはしばらく抱き合った。
何も言わずに、ただ抱き合った。
しばらくして彼女のすすり泣く声が止んだ頃、彼女は俺を見上げてニコリと笑う。
「禅くんとの子ども、同時に二人も来てくれるなんて…。
贅沢すぎるね!」
涙でぐちゃぐちゃになったその笑顔が、あまりにも愛おしい。
「だな。」
そんな彼女に、俺も釣られて笑う。



