「ごめんね、禅くん。
びっくりさせちゃったよね…?」
申し訳なさそうに眉をひそめる彼女の頬を、優しく撫でる。
「俺の方こそ…
一人にして悪かった。」
1人で心細かったよな…
謝る俺に、彼女は笑う。
「ふふっ…
お互いに謝っちゃって、変なの。」
窓から差し込む光に照らされた彼女の笑顔があまりにも綺麗で、俺はそっと彼女を抱き寄せた。
何も言わない俺に、結衣はまるで子供をあやすように背中を擦る。
「大丈夫だよ。
絶対に禅くんを一人になんてしないから。」
「…当たり前だ。
縁起でもないこと言うんじゃねぇ。」
「あははっ。それもそうだね。」
結衣はゆっくりと体を離し、そっと俺の前髪をかきわける。
愛おしそうにこちらを見つめるその瞳に、吸い寄せられるように唇を寄せたその時…



