その瞬間、激しい眩暈に襲われた。
視界が歪んで、足の感覚がなくなる。
立っていられなくてその場に跪く。
どうしよう…
「助けて……禅く…」
スマホ……
だめだ、寝室に置いたまま…
禅くん、いつ帰ってくるかな…?
薬を買うって言ってたから、近くのドラッグストアまで行ったのかな…?
あ…やばい……
もう跪くことさえも辛くて、私はゆっくりと上半身を前に倒した。
どれだけの時間、その状態でいたのか自分でもわからない。
最初は冷たく感じたフローリングも、今はもう私の熱ですっかり温まってしまった。
どんどん意識が遠のいていって…
頭がふわふわして、気持ち悪い。
動いてないのに、視界がぐるぐる回る。
どうしよう…怖い…
私、死ぬのかな…?
「…結衣!?」
朦朧とする意識の中で、大好きな彼の声が聞こえた気がした。
そして私はそのまま意識を手放した。



