─────ガチャッ
「結衣。起きてるか?」
「…あ、うん。」
「飯できた。食えそう?」
「うん。」
彼に腰を抱かれながら、寝室を出る。
ダイニングテーブルの上には、向かい合うように置かれた二つのおうどん。
うちの夫は、一体どこで身につけたのか分からないが、家事力が高い。
料理も洗濯も洗い物も、一通りの家事はそれなりに出来て…
今日みたいに私が家事をできない時は、いつも代わりにやってくれる。
禅くんが作ってくれた料理なら、もうなんでも美味しくて…
うどんの前に座ると、出汁の優しい香りが立ち上る湯気と共に舞う。
すごく美味しそうな匂いのはずなのに…
何故か今日はそれが不快に感じた。



