そんなの、全然知らなかった。
たしかに、妊娠中はいつにも増して心配性が爆発してたけど…
家事はほとんど彼がやってくれていたし…
私の体調が優れない日は、「仕事に行かない」とか言い出しちゃったり…
今更だけど、愛されてるなぁ…私。
「ふふっ。愛してるよ、禅くん。」
「ん。俺も。」
私が笑うと、彼も少し照れ臭そうに笑った。
私の髪を撫でる彼の冷たい手が、とても心地よい。
「ヒュー!相変わらずラブラブ〜♡」
「おい、ボケ結衣。
姉兄のラブシーンなんてクソほど興味ねぇんだけど。」
「うーわ。
なんか俺も結婚したくなってきたわ。」
私と禅くんのラブラブっぷりに、周りから飛ぶ野次。
これはもはや、高校時代からの定番行事と言っても過言ではない。



