「結衣ってさ…
妊娠中、結構つわりが酷かったでしょ?」
「うん。そうだね。
食べ物の匂い嗅ぐだけでも気持ち悪くて…
しょっちゅう吐いてたね(笑)」
ほんとにあの時は辛かったなぁ〜…
お腹の子のためには「ちゃんと食べなきゃ」って思うのに、全然食べれなくて…
「あの頃の禅、すごかったんだから。
毎日のように我が家に電話がかかって来てたわよ。」
「…おい。」
エリちゃんの言葉を止めようとする禅くん。
「え…?
なんでエリちゃん達のところに?」
「〝つわりの時に食べやすいものは何か〟とか、〝夫にできることは何か〟とかね。
…そんなの、個人差があることだし。知らないっつーの。(笑)」
「私はどっちかと言うと、食べづわりだったし」と楽しそうに笑うエリちゃんに対して、禅くんの顔は赤かった。



