「相手は?どんな子なんだ?」
そんな賢ちゃんの問いかけにも、佑の解答はあやふやで…
「たしか…どっかの令嬢とか?
写真見たけど、あんまり顔も覚えてねぇ。」
その佑の答えに、私の違和感は確信に変わった。
「それって…政略結婚?」
「あぁ。」
私の気持ちを代弁した棗くんの問いかけに、当たり前のようにそう答える佑。
私はその姿に、なんだか少し胸が痛んだ。
シンと静まる一同に、佑はわざとおどけたように笑った。
「何だよ。
政略結婚じゃ何か悪ぃかよ?」
「いや、何も…」
悪くはないんだけど…
私と禅くんだって、言ってみれば〝組同士の政略結婚〟なわけだし…
それでも私と禅くんは元々想い合っていた者同士だから…
今も二人の子宝に恵まれて幸せに暮らしている。
だけど、佑のはそれとは少し違うというか…



