「…余裕そうだな?」
そう言って私の腰をグイッと引き寄せる彼に、私は自分の行動を後悔することになる。
「…わぁ!?」
彼はそのまま私を抱き上げて、車の後部座席に連れて行く。
そのままシートに私を寝かせると、その上に覆い被さる形をとった。
「…ぜ、禅くん?」
車窓から入り込むオレンジ色の光が彼の顔を照らして、やけに色っぽい。
そんな彼に、ギュッと目を瞑ってゴクリと唾を飲み込んだその時…
覆いかぶさっていた彼の影が、そっと離れていく。
突然無くなった彼の気配にゆっくりと目を開けると、彼は私の腕を引いて座らせる。



