「結衣。」








彼が私の名前を呼び目を伏せたのを合図に、私もそっと目を閉じる。





ゆっくりと2人の影が重なる。

彼の唇は私のよりひんやり冷たくて、少しだけ乾いていた。




数秒間の触れるだけのキス。

ゆっくりと唇が離れると、伏し目がちの彼と目が合う。










「…顔真っ赤。」





「ちがうよ!

…夕日のせいだよ!」






「はいはい。」








余裕の笑みを浮かべる彼に、なんだか悔しくなって…

もう一度彼の顔が近づいてきた時、目一杯背伸びをして彼の唇をペロリと舐めてやった。