私の処女を守ってくれた恩人に、お礼も言わないなんて失礼すぎる。


私は月島さんが座る後部座席の窓を軽くノックして、窓を開けてもらう。

窓が開くと月島さんの綺麗な漆黒の瞳と目が合って、一瞬ドキッとした。










「月島さん…。

あの、ありがとうございました。」








「あぁ。」











相変わらず無愛想な返事だったけど、なんだか少し嬉しかった。



だって、少しだけ口角が上がってたから。

ただそれだけの事が、なぜかすごく嬉しい。









「じゃーな、クソ女。」





「結衣ちゃんバイバイ。」







「…またな。」