「…佑、ほら。私…大丈夫だよ?」
優しい口調で佑に語りかける結衣の表情は、まさに“姉”だった。
「佑。ちゃんと自分の目で確かめろ。」
昴がそう言い弟の腕を引くと、佑は渋々病室の中に入ってくる。
前髪で顔を隠すように少しだけ俯いた佑の目は、真っ赤に腫れていた。
「あらら?佑ちゃん、泣いたの?」
「…うるせぇ、泣いてねぇ。」
大きな瞳いっぱいに浮かんだ涙を誤魔化すように笑う結衣に、佑は掠れた声で言う。
「ははっ。冗談だよ。
……はい。」
さっきまでの明るい笑顔とは打って変わり、優しく目を細めた彼女は、佑に向かって大きく両手を広げた。



