「…佑は?一緒じゃないの?」
昴にそう尋ねる彼女の表情は、少しだけ寂しそうだ。
「いるよ、そこに。」
昴が指を指した病室の入口の方に、結衣は首を傾げながら目を向ける。
俺も彼女の視線の方に目を向けると、たしかにそこには人影が見えた。
「佑…?来ないの?」
佑の答えを待つべく、耳を澄ますけど…
聞こえてくるのは微かな鼻をすする音だけ。
「佑のやつ…結衣が目を覚ましたって聞くなり、号泣しはじめてさ…
ここまで来るのに何回事故りかけたか…」
呆れたようにそう言う昴の言葉に、扉の影から見える佑の肩がぴくりと揺れる。



