｢私…1ヶ月も寝てたんだってね。
…ごめんね。たくさん、心配かけて。｣
｢…あぁ。｣
俺が震える声で短くそう答えると、彼女は優しく俺の頭を撫でる。
｢禅くん…
お願い、…顔が見たいな。｣
そう言って俺から離れようとする彼女を、俺は慌ててまた引き寄せる。
涙でぐちゃぐちゃになった情けない顔を、見られたくなかった。
｢禅くん…だめ？｣
切なげな声で囁く結衣。
本当にこいつは…わかってやってんのか？
そんなに可愛くお願いされたら、聞かないわけにはいかない。
男としてのプライドなんて、どうでもよくなる。
結衣の願いは、何でも聞いてやりたい。
