「…抱き締めていいか?」
俺が遠慮気味にそう聞くと、彼女は一瞬だけ照れて、そして嬉しそうに笑う。
「うん。…抱き締めて。」
1か月前に比べて、随分痩せた。
肩も指も、少しでも力を入れると折れてしまいそうで…
彼女を壊してしまわないように、そっと包み込む。
以前よりずっと弱々しくなった結衣。
だけど、抱きしめた時の温もりは、1か月前と何も変わらなくて…
腕の中で俺にすり寄る彼女に、ようやく実感が湧いてきて…気づけば涙が溢れていた。
一度溢れ出した涙は、止めようとしてもなかなか止まらない。
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