一通りの連絡を終えて、彼女の病室に戻る。
いつの間にか医者たちも全員居なくなっていて…
先程までたくさんの機械に繋がれていた彼女の周りも、随分すっきりしていた。
俺が病室のドアを開くなり、彼女は上半身を起こしてこちらを見る。
「禅くん…どこ行ってたの?」
寂しそうにそう呟いた彼女の元に歩み寄り、ベッドのふちに腰掛けた。
「昴たちに電話してた。
…もう起き上がって大丈夫なのか?」
俺が彼女の背中に手を添えると、彼女はヘラリと笑う。
「私、頑丈なんだよ。」
「あぁ。そうだったな。」
ずっと恋しかったこの笑顔。
ずっと聞きたかったこの声に、思わずまた涙腺が緩む。
俺は溢れそうになる涙をぐっと堪えて、彼女の手をそっと握った。



