「結衣…!」 その呼び掛けに彼女はゆっくりと首をこちらに向け、俺に微笑んだ。 「ぜ…くん、……泣いて、るの?」 ゆっくりと伸びてきた彼女の手が、俺の頬に触れる。 「泣いてねぇ。」 そんな風に強がって言っても、とめどなく頬を伝う涙のせいで説得力なんてない。 俺はそれ以上結衣に情けない泣き顔を見られたくなくて、すぐに涙を拭ってナースコールのボタンを押した。 「結衣が目を覚ましました。」 その一言で直ぐに、主治医と数人の看護師が病室に駆けつける。