「お前の前では、いつもあんな感じなのか?」
結衣の手を握り、そう語りかける。
この1ヶ月間、毎日欠かさずこの病室に通い続けている。
いくら訪問者が多い病室といえ、毎日何時間もここにいれば、彼女と二人きりになることも多々あって…
そんな時、手を握って彼女に語りかけるのが俺の日課になっていた。
もちろん、返事なんてかえってこない。
だけど、意識はなくても彼女が聞いてくれているような気がするから…
「今日な、佑があのピアスを持ってきてくれたんだ。
…佑のおかげで、またお揃いになった。」
自分の左耳をについたそれにそっと触れる。



