「…禅も、突っ立ってないで座りなよ。」
「あぁ。」
冷蔵庫の中から缶コーヒーを取りだしながら言う昴に従い、俺はベッドのすぐ脇に置かれた椅子に座る。
「結衣…。」
呼吸器に繋がれ、ぐっすりと眠る彼女の髪をそっと撫でる。
すると髪の毛で隠れていた耳元が露になり、チカリと光るものが目に入った。
彼女の右耳に付けられたピンク色の星型のピアス。
「……これ…」
見覚えのあるそれに、俺は自分の左耳を触る。
初めてのデートで買ったお揃いのピアス。
別れてから、彼女がこのピアスをつけているところを見たことは無い。



