禅side




車から降りると、白い息が空を舞う。

街を行き交う人々は皆、コートやマフラーなどを身にまとっていて…



俺は花屋でオレンジ色のカーネーションを数本買った。

明るいオレンジ色が、彼女にピッタリだと思ったから。





本当は、もっと大きくて華やかな花束を持って行きたいけど…

彼女の友達や、覇王と龍王のメンツなど、毎日のように訪れるたくさんの人間のおかげで彼女の病室はもはや荘園状態。


それだけ彼女がたくさんの人に愛されているということだ。





なぁ、結衣。

たくさんの人が、お前のことを待ってるんだぞ?



お前の声が聞きたい。

…お前の笑顔が見たい。




もうあれから1ヶ月も経つ。

…いつまで寝てんだよ。