禅side







病院に到着するとすぐに、救急室に運び込まれた結衣。

たくさんの医者や看護師たちに囲まれて傷口を治療される彼女を、俺はただじっと見つめることしかできなくて…



さっきまでは薄暗さで見えなかったけど、よく見たら腕や腹部にも、数箇所刃物で切られたような傷があって…


この痛々しい傷がすべて郷田によって付けられたものなのだと思うと、腹の底から憎しみが込み上げてきた。




それはきっと昴も佑も同じ思いで…

苦しげに顔を歪める二人を横目で見る。






ごめん、結衣。

守ってやれなくて、本当にごめん…


俺は何度も心の中で彼女に詫びた。