「あー、瀬戸くん?」
雄大の名前を聞いてケタケタと笑いだす郷田に、私はとてつもない不快感を覚える。
「…瀬戸くんってば…結衣チャンが気絶した後、急にブチ切れちゃってさー。
ちょーっと手こずっちゃったけど、ちゃんと俺の手で仕留めておいたよ。」
「もう死んじゃってるかもね?」と笑う郷田に、私は精一杯の力で殴りかかった。
こいつ……
よくも雄大を…っ!!
沸き立つ怒りをすべて拳に込めた。
しかしそれは、郷田の手によっていとも簡単に止められてしまう。
無力な自分に腹が立って、悔しくて…
滲んだ涙を隠すように俯くと、そんな私の耳元に郷田は顔を寄せた。
「……結ー衣。落ち着いて。」
「…っ!?」
────ゾクっ……
耳元で囁かれたその声に、背筋が凍った。
だってその声は…
昴兄の声とそっくりだったから……



