勢いよく振り下ろされる鉄パイプに、目をぎゅっと瞑る。

…その瞬間、頭部に激痛が走った。










「…結衣ッ─────…!!!」









殴られた衝撃で地面に倒れる私を、雄大は抱きとめる。



うわー…頭痛い…

鉄パイプで殴られたのなんて初めてだ…









「結衣!?…しっかりしろ!!!」








下から見上げる雄大の顔は、傷だらけで…苦しそうで…

目には涙が浮かんでいた。










「ゆ……だ、い……

も…、……げ、て……」









あれ…おかしいな。

舌が回らない。上手く喋れない。





それでも伝えたかった。

『私の事はいいから、今すぐ逃げて。』




こいつらは危険すぎる。

…あまりにも卑怯すぎる……。



こんなクズみたいなヤツらのせいで、もうそれ以上傷つかないで…








「もう少し頑張れよ。

すぐに病院に連れて行ってやるから…」








彼の右目から一滴の涙が零れた。

その温かい涙が、私の頬に落ちて拡がる。



その心地よい感覚を最後に、私の意識は途絶えた。