「あらら?俺らの気配に気づけないなんて…
瀬戸くん、ちょっと鈍ったんじゃない?」
雄大をおちょくったように見下す男。
そんな彼を、雄大は鋭く睨む。
あれ…?
こいつ、どこかで…?
「こんにちは。…結衣チャン♪」
───────ゾワッ
全身の毛穴が立ったのを感じた。
私の全神経を逆撫でするようなこの声…
「…あんた……佐田貞雄!?」
間違いない!
焼肉屋で会った男だ!
昴兄にも、「この男に会ったら、死ぬ気で逃げろ」と言われた。
超危険人物。
昴兄達の敵…!
「────…ぶはっ!…ククッ…
お前…っ…やべぇ、腹痛てぇ…」
5人の厳つい男を引き連れた卑怯者の貞雄。
この緊迫した雰囲気。
その雰囲気をぶち壊すように聞こえてきたのは、雄大の盛大な笑い声。
…え?
この危機的状況で普通笑う?
ねぇ、馬鹿なの?
やっぱり雄大って馬鹿なの!?



