「そうか。」
少し悲しげに目を伏せる彼を見ると、胸が締め付けられた。
「ごめんね、禅くん。」
「いや、何回も断られる覚悟で来てるから…」
「お前の本当の気持ちが知れただけで十分だ」
…そう言って彼は優しく笑う。
不意に目頭が熱くなって、それを隠すように
彼の肩にもたれた。
「頼むから、危険な事だけはするな。」
彼は優しく私を抱きとめ、そう言った。
だけど私には、「うん」と小さく返事をするしかできなかった。
ごめん、禅くん。
私、頑張るから。
あなたの隣に胸を張って帰れるように…
必ず真犯人を見つけてみせるから。
だからもう少しだけ待っててね…