「おい、こっちに来い。」
不意に後から聞こえた不機嫌な声。
「え…?」
「結衣ちゃん、行ってあげな。」
小声でそう言った朝比奈さんと、不機嫌丸出しな月島さん。
なぜ月島さんがこんなに不機嫌なのかは知らないけど…
これ以上不機嫌になられても困るから、大人しく月島さんの隣に座る。
月島さんの隣、緊張するな…。
この端正すぎる顔のせいか、この人が出す独特なオーラのせいか。
小さい頃から男ばかりの環境で育ってるから、男性には慣れてる方だと思うんだけどな…
肩が少し触れるだけで速まる鼓動。
組員や昴兄や佑には、感じたことのない感覚だ。
「そうだ、結衣ちゃんって何歳なの?
あれ、桜庭学園の制服だよね?」
朝比奈さんが、私の前に紅茶を置きながら聞いてくる。



