「結衣は、俺が仲間を攻撃するようなクズだと思ってたのか?」
私と同じ目線にしゃがみ、イタズラな笑みを浮かべた彼。
「そんなわけないじゃん。
………信じてた。」
私はそっと彼の手を握った。
私よりも随分大きくて、少し冷たい彼の手。
禅くんが昴兄たちにとって、〝裏切り者〟でなかったとしたら…
覇王と龍王が仲違いする理由なんて、本当はなかったのだとしたら……
私…またこの手を握ってもいいんだよね?
繋いだ手を離さなくてもいいんだよね?
…もう一度この人を愛してもいいんだよね?
彼の手を握る右手に、少しだけ力を込めた。



