…だけど……

何度そう願っても、やはり脳裏に浮かぶのは二人の顔。









「禅くん…

私、やっぱり昴兄や佑を傷つけてまで幸せになんてなれない。」








1歩離れて、しっかりと彼の瞳を見て言う。









「結衣…」








切なげに震える彼の声に、喉の奥がギュッと熱くなった。









「…だから、一つだけ教えて欲しいの。」





「何だ?」










私、自分が思ってた以上にワガママみたい…

〝どちらか〟じゃだめなの。




兄弟か恋人かなんて…

そもそもそんなの選べるわけなかった。




だから、賭けてみるよ。