「まぁ、たしかに姉とは思えないかもな。
…だってお前、俺よりガキだろ?」
「はー!?
どう考えても佑の方がガキでしょ?」
「それはない。」
大丈夫。
いつも通りに話せている。
考えろ、思い出せ。
普段の俺なら、どんな風に結衣に伝える?
「まぁ、姉貴とは思えねぇけど…
〝妹〟くらいには思っといてやるよ。」
これが必死に考え出した、最も〝俺らしい〟
言葉だった。
正直俺自身も、自分がここまで嘘が上手とは思わなかった。
最愛の彼女を傷つけないための、最も優しい嘘。
俺にとっては、何よりも残酷な言葉。
俺のその言葉を聞いた途端、彼女の瞳からは涙が零れた。
「え、あれ…?
おかしいな。」
拭っても拭っても溢れてくる涙に、彼女は困ったように笑った。



