俺が呼ぶと、結衣は気まずそうにゆっくりと顔を上げる。 隣にいた兄貴は、慌てて男たちの中心にいる 結衣に駆け寄った。 「こら、結衣! 一人でここには来るなって言っただろ!?」 兄貴は自分が総長を務めていた時から、結衣がここに出入りすることを嫌がった。 こんな場所に出入りさせることで、妹を危険な目に遭わせたくないという思い… いや…自分が暴走族のトップに立つ姿を、結衣に見せたくなかったのかもしれない。 珍しく強い口調で怒る兄貴に、結衣はシュンとした表情で再び俯く。