「ありがとう、兄貴。
おかけで結衣を傷つけずに済みそうだ。」
「佑…」
俺のこの思いが、結衣を傷つけることだけは絶対に避けたい。
本当は、あいつに気持ちを伝えるべきではないことくらいわかっていた。
…ただ、長年の想いと俺の願望が邪魔をして、思考回路が狂っていただけ。
兄貴のおかげで目が覚めた。
「そろそろ帰るか。
ブラコン女が家で待ってるだろ。」
これ以上兄貴に気を使わせないように、できるだけいつも通りに笑ってみる。
そんな俺の頑張りを察したのか、兄貴もいつものような優しい笑みを浮かべてくれた。
「あぁ。帰ろう。」



