｢…今は、結衣の精神状態が心配なんだ。
俺のせいで月島と引き離された上に、自分が天涯孤独だっていう事実まで……｣
必死に訴えかける兄貴の目には、薄らと涙が浮かんでいた。
俺たちには滅多に弱さを見せない兄貴。
そんな兄貴の涙に、胸が抉られるように痛んだ。
｢…せめて俺たちだけは、結衣の心の拠り所でいてやりたい。｣
そして、最後に兄貴は俺に頭を下げる。
｢結衣の兄貴である前に、お前の兄貴でいてやれなくてごめん。｣と…。
｢何言ってんだよ。
兄貴が謝ることじゃねぇだろ？｣
兄貴は俺の兄貴だ。
誰よりも強くて、情に厚くて、優しくて…
尊敬すべきたった一人の俺の兄貴だ。
