「婚約してくれるのは有難いが… ……無理してるんじゃないか?」 「無理なんてしてないよ! それより、相手はちゃんといい男なの?(笑)」 冗談っぽく笑って、できる限り明るく振る舞う。 「頼りがいのあるいい男だよ。 でないと、お前の婚約者候補にはしない。」 「そっか…。 お父さんがそう言うなら…安心だね。」 お父さんのその言葉を信じてみることにする。 彼以外の誰かを好きになるなんて考えられないけど、きっと大丈夫。 いつかちゃんと禅くんのことを忘れて、相手のことを愛せる時が来る。