「お前の両親だよ。」
この人達が私の両親…。
たった一枚の写真からでも、幸せそうな家庭の雰囲気が伝わってくる。
唐沢家の賑やかさとはまた少し違った、穏やかな温かさを持つ写真。
「結衣はお母さん似なんだな。」
隣に座る昴兄が、写真を覗き込みながら笑った。
「いやいや、目元は父親似だろ?」
そんな昴兄に、お父さんも楽しそうに言い返す。
私だけ血が繋がっていないという事実も…
両親が既に亡くなっているという事実も…
ショックだったことに違いはない。
でも、私はやっぱりこの家で育ててもらえて
本当によかったと思う。



