「…婚約って何のこと…?
……血が繋がってないって…」
ポツリポツリと言葉を紡ぐ私に、その場にいる誰もが苦しそうに顔を歪める。
涙が溢れた。
…なんで誰も否定してくれないの?
そんなに下向いてばっかりだったら、まるでそれが事実みたいじゃんか…
「ごめん、結衣。
…いつかは話さないとって思っていた。」
俯いたままお父さんはそう言う。
「そこに座れ」というお父さんの指示通り、私はふらつく足取りで腰を下ろした。
私の両隣には昴兄と佑。
祥さんは私が座るのを見守った後、気を使って部屋を出ていった。
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