「可愛いお嬢のためですから。」
昔から変わらない優しい笑顔に、私も自然と微笑む。
「でもお嬢…。
一つだけ約束して?」
さっきまでの柔らかい笑顔とは一変して、真剣な面持ちになる祥さん。
その彼の表情に、私は息を飲んだ。
「探る相手が暴走族だって事を忘れんなよ。
…黒薔薇は、覇王や龍王とは違う。
卑怯な手も平気で使うような奴らだ。」
…わかってる。
なんて言ったって、黒薔薇は禅くんや昴兄を襲った容疑者だ。
卑怯でないわけが無い。
「大丈夫だよ、祥さん。」
私は祥さんを安心させるように微笑む。
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