今まで自分の中で張り詰めていたものが、一気にはち切れてしまったんだ。
本当は、ずっと…
この気持ちを一人で隠し通すのが辛かった。
一人で抱えるには、あまりにも深く…重いものだったから。
誰かにわかってほしかった…
だけど…
「ふざけんじゃねぇぞ!?
お前がどう思おうと、お前と結衣は姉弟だ!
…あいつの婚約の件に関しては、お前はもう口を挟むな。」
…わかってた。
この恋心は誰にも理解されるはずないって…
俺の長年の思いを知り、激怒する親父と動揺を隠し切れない様子の兄貴。
…わかっていたけど、…ただ虚しくて、
辛くて、苦しくて…
「………血が繋がってない奴を…
…姉貴だなんて思えねぇよ…。」
今でもはっきりと思い出せる。
5歳になる年の冬。
突然我が家にやって来た可愛らしい女の子。
記憶をなくしたその女の子が、結衣だった。



