でも…… 「…戻って来いなんて言えないよね…。」 禅と結衣ちゃんは誰がどう見ても相思相愛だった。 禅が彼女を愛したのと同じくらい、彼女も禅を愛していた。 そんな彼女にとっても、禅と離れるのは何よりも辛い選択だったはず。 …そんな選択をしてまで、守りたいものが彼女にはあったんだ。 それが一体何なのかは、俺達も十分理解している。 「はぁ……」 ──────────プルルルルルル…… 俺が深いため息をついたと同時に、スマホの着信音が鳴り響く。