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タクシーで病院に到着すると、救急治療室に急ぐ。
慌てて来たため、私も祥さんも着物姿。
そんな異様な私たちを、すれ違う人たちは好奇の目で見る。
ここまで来るのには、彼の安否を知りたい一心でとにかく必死だったのに…
いざ治療室の前まで来てしまうと、足がすくんで震え始める。
この中に、禅くんがいるんだよね…
もし危険な状態だったら…
「お嬢、大丈夫だから。」
隣にいる祥さんは、震える私の手を優しく握ってくれる。
そのおかげで、私も少しだけ落ち着くことが出来て…
覚悟を決めて救急治療室に足を踏み入れた。



