「ちょっと雄大!なにやってんの!」
「やべ…!わりぃ!」
あぁ…今日はなんて災難な日なんだ。
さっきまで凛華と楽しくお話したのに。
数十分前まで戻りたい…。
「本当にごめんね。」
心配そうに私の顔をのぞき込む隣の男。
暗くてよく見えなかったけど、この人もすごくかっこいい。
優しそうなたれ目に明るい茶髪。
どこかの国の王子様みたいだ。
「俺、朝比奈棗(アサヒナ ナツメ)。
そっちの馬鹿が瀬戸雄大(セト ユウダイ)。
……で、君をここに連れてきたのは、月島禅(ツキシマ ゼン)。
えっと……よろしくね?」
丁寧に3人分の自己紹介をした彼はニコリと優しく微笑む。
私はよろしくするつもりなんてないけど。
でも、一応助けてもらったし。
失礼はよくないよね。
本当は名前なんて教えるべきじゃないけど…。



