禅くんは、最後にそう言った。
その言葉を残して、私達は同時に果てた。
〝愛してる〟
…初めて言ってくれたね…。
そんな甘い言葉があまり得意ではない禅くん。
私が…密かにずっと聞きたかった言葉。
ずるいよ。禅くん…。
なんで…今言うの…?
そんな言葉聞いたら、離れたくなくなる。
禅くん…本当はね……
〝私も、心の底から愛してる。〟
……そう言いたかった。
…でも…それを口に出してしまえば、別れられなくなる気がしたから…
私は荒い息の中に、その言葉が出ることを必死で抑えた。
しばらく彼の腕の中で目を瞑りながら、これまでの思い出を振り返る。



