車内には既に、運転席と助手席、後部座席にも一人男が乗っていて、
私は先に乗っていた男と、助けてくれた彼に
挟まれて座る形になった。
「え…女の子…?」
すごくびっくりしたような目で見てくる隣の男。
お、終わった…。
これはもう逃げられない。
私、誘拐されちゃうんだ…。
お父さん、お母さん…
…昴兄、佑…
…迷惑かけてごめんなさい。
どうか助けてください。
「おー、禅。
遅かったじゃねー…か………」
今度は助手席に座っていたチャラそうな男がこちらを振り返る。
すると、自然に目があって、助手席の男はしばらくフリーズする。



