「……でも、俺はまだお前に言えてないことがある。」
しきりにそう話し出した禅くん。
禅くんの言う〝言えていないこと〟とは、一体何なのか…
私にはそんなこと分かるはずなんてないけど…
でも、もしかしたら……
禅くんは、私が昴兄の妹だということに気づいているのかもしれない、と思った。
〝唐沢〟の姓や、桜庭学園に通っていること。
禅くんと昴兄がかつて仲間だったのだとしたら、私の正体に気づくキッカケなんていくらでもあったはず。
雄大ならまだしも、勘のいい彼がこんなことに気づかないはずがない。
…私が昴兄の妹だと知ってもなお、愛してくれていたのだとしたら……
「俺は…その事を解決するまでは、絶対に抱かないって決めてた。
…それを聞いたら、お前は俺を嫌いになるかもしれねぇから…。」
ねぇ、禅くん…
私との事をそんなに真剣に考えてくれてたんだね…。
真剣に、愛してくれているんだね…
でもね…私は…



