「結衣、今日は俺たち夜まで帰らないから。

親父と母さんもいないみたいだし、昼メシはしっかり食えよ?」





「はーい。いってらっしゃい。」









あれから数日が経った土曜日。

昴兄と佑は、それだけ言い残して家を出た。




今日だ…。

今日、彼らに別れを告げないといけない。



私はスマホを操作して、電話帳に登録された
【月島 禅】の文字を探し出す。

そして震える手で発信ボタンを押した。








─────プルルル…プルルル…




機械音がやけに心臓に響く。

スマホを握る手には汗が滲んで…