「賢一郎、やめなよ…。
ゆ、結衣にも他校の友達くらいいるよ!」
わかりやすく言葉に詰まる藤咲。
…こいつ、何か隠してるのか?
「いや、俺の勘は当たるぞ?
絶対結衣は男といる!
中庭と教室棟にいないってことは…
……多目的室だ!」
藤咲が止めても、聞く耳を持とうとしない賢。
「そこに行ったら結衣に会えるの!?
賢一、はやく案内して!」
「エリさんまで…」
エリまで便乗してしまえば、いくら藤咲でももう賢を止めることは出来ない。
もし本当に結衣が彼氏といたら……。
それを直接自分の目で見てしまったら、俺はどうすればいいんだ…?
正直行きたくないが、俺の肩に腕を回して前進して行く賢を止める自信もない。
結局俺達は、賢とエリに引きずられながら、多目的室まで来てしまった。



