「…人がせっかく我慢してやってたのに。」
バツが悪そうに目を逸らした禅くん。
我慢してたって…
「だから、さっきから距離とってたの?」
さっき、私が横に座った時も…
私に手を出さないために…?
「……結衣だけは、大切にしたい。」
少しだけ顔を赤らめて言う禅くんに、また私の胸は高鳴る。
クールで無口なのに、恥ずかしがり屋で時々可愛い。
出会った時は怖い人かと思っていたけど、知れば知るほどこの人を好きになる。
「我慢しなくていいのに…。
私…禅くんになら何されてもいいよ?」
私は、彼のひんやり冷たい手を握った。
この手に触れて欲しくて…。
そんな事言ったら、変態って思われるかな。
「何されてもいいって……
……お前、意味わかってねーだろ。」



