「…私も……
…私も、禅くんが大好きです。」
こんなに誰かを愛おしいと思ったのは初めてで…。
気持ちの伝え方なんてわからない。
…だから、私なりにまっすぐ想いを伝えた。
どれくらい沈黙が続いたんだろう。
10秒くらい…?
いや、ほんの一瞬だったかもしれない。
不意に腕を引かれて、気づくと禅くんの腕の中にいた。
ふわっと香る甘い香りと、少し混ざった煙草の匂いが鼻をくすぐる。
「…そばにいてくれ。」
「うん。」
「俺から離れるな。」
「禅くんこそ、離さないでね。」
それからは、お互い何も話さなかった。
ただ…私を抱き締める彼の力が、さっきよりも強くなったのだけ感じた。