「…その箱、なに?」








私の膝の上にある箱を指さして言う禅くん。









「…あぁ、これね。


ケーキ作ってたって言ったでしょ?

少しだけ持ってきたんだ。」






「ふーん。」










それだけ言って、彼は窓の外に目を向ける。




うぅ…。冷たい…。

でもそこがカッコイイぜ。ちくしょう。




…なんて。

今回は声に出さないように気をつけた。






何度も同じ失敗をする私じゃない。


ドヤ顔で禅くんを見るけど、当の本人は私の顔なんて見ていやしない。



そりゃあ、私の顔なんて見ても何の得にもならないけど。





…はぁ。


窓ガラスに寄りかかると、見えてきたのは繁華街の街並み。