「禅くんっ!」








いつの間にか走り出していた私。





コンビニに着くといつもの高級車が止まっていて、私はそれに乗り込む。

車内には、いつものように目を瞑って腕を組んでいる禅くん。



いつもだったらすぐに挨拶をしてくれる棗くんと、騒がしい雄大が見当たらない。









「あれ?棗くんと雄大は?」








その私の声に反応した禅くんと目が合う。




やっぱり綺麗。

吸い込まれそうな漆黒の瞳。









「今日は俺だけ。」






「そうなんだ。」









相変わらず無表情で無口。


でも不思議と気まずさはない。

この沈黙がなんだか心地良いんだ。








「出せ。」




「はい。」








動き出した車は、倉庫に行くのとは違う道のりを進んでいく。



どこに向かってるんだろう…。


流れていく風景を、ただ窓から見ていた。