ブルジュワ高校かるた部!!

「ねえ。そこにいるの誰?」
甘い、低い声が私の耳を掠めた。
え、あの方は私に気づいているの?
私は悪いことをしたわけでもないのに、その場から走ってにげた。
「ねえ、喜一。続きは?」
「ごめん。終わり。」
「えぇ。」
喜一と呼ばれた男はカバンを持って颯爽と空き教室を後にした。
「はぁ。つまんないの。」
女生徒のつぶやきは誰にも届くことなく、静寂に包まれた空き教室に吸収された。



はぁはぁ。と息が上がってとても苦しかった。
だけど、どこまで走ればいいかわからなくてもまだ立ち止まってはいけないと私の本能は言っている。
あの方、私に気づいていたのに制服を脱がすなんてはしたない!!!!
だけど、女の方は黒髪でとても美人の方だったな。
羨ましい。
「私も、あんな美人だったらなぁ。」
いつの間にか立ち止まって、私はそんなことを口走っていた。
私の容姿は、茶髪で腰まである長い髪をいつもポニーテールで結んでいる。
黒髪。何よりも羨ましい。生まれつき茶髪の私は黒髪美人が羨ましいと何度思ったことか。
それに、何よりも目だ。
あの黒髪の女生徒は切れ長の猫目でとても綺麗だった。
私は、二重なのはいいけど、丸い目だから、どうしても子供のように見えてしまう。
羨ましいと言ってくれる人は多いけど、私は大和撫子のように黒髪猫目の美人になりたいのだ。

そんなことを思っていたら、ポンと誰かに肩を叩かれた。
私は忘れていた。
なんで走っていたのか。
そして、私の肩を叩いたのは…
「やっほ。盗み見ちゃんっ」
さっきのエロい男だった。